ホルモン充填療法(HRT)って危険?安全?正しいピルの基礎知識

ホルモン充填療法・ピル

更年期障害をはじめとして、多くの病気に効果を発揮するホルモン充填療法(HRT)。その名のとおり、女性に不足しがちなホルモンを補うことで、更年期以降に発症する様々な不調の緩和・改善を期待できます。

しかし一方では副作用を懸念する声も根強く、十分には普及していません。どんな症状に「効く」のか…そのメカニズムは?実際に副作用があるのかないのか…ピルの服用に代表されるホルモン充填療法の詳細を確認しておきましょう。

1.ホルモン充填療法の基礎知識

1-1.歴史とメカニズム

ホルモン充填(じゅうてん)療法は「ホルモン補充療法」、「HRT」の別名でも知られています。HRTとは「Hormone Replacement Theraphy」の略称。「ホルモンを補う治療法」という意味ですから、日本名と違いはありません。

更年期に見られる諸症状(更年期障害)は、女性ホルモンの一つ「エストロゲン」の減少によって引き起こされます。ホルモン充填療法は、その不足を補うことで、不快な症状を軽減する目的で行われます。

具体的には、顔のほてり、発汗、動悸、不眠、イライラや欝(うつ)など、更年期の女性によく見られる症状全般に効果が期待できます。また、骨粗しょう症、動脈硬化など、生活習慣病の予防効果でも知られています。最近ではPMS(月経前症候群)の治療に利用されるケースも増えています。

HRTは1960年代に欧米で開発されました。当初は子宮体がんなど発症する例も多く、「発がん性」を指摘する声もありましたが、近年ではごく安全な薬剤が開発・服用され、危険性は排除されています。以降、欧米では急速に普及し、更年期特有の症状がない女性も、予防目的で常用するほど一般化しています。

1-2.主な効果

ホルモン充填療法の主な効果ホルモン充填療法は、3ヶ月の治療で約80パーセントの人に効果を発揮するといわれています。特に顔のほてり、のぼせ、動悸、頭痛、めまい、不眠やイライラなど「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と呼ばれる諸症状には劇的に作用して、見違えるほど健康状態が改善する女性も少なくありません。

以上のように、ホルモン補充療法は多様な症状に「総合的に作用する」点に特徴があります。中でも精神面の変化を自覚する方が多く、「性格が明るくなった」、「毎日が楽しくなった」と喜びの声を口にする方も珍しくないようです。

ただし、HRTの効果には個人差も大きく、必ずしも全ての症状が解消されるとは限りません。また、短期間で効果を実感するケースが多い一方で、半年~1年くらい服用を続けて、徐々に効果があらわれる事例もあるようです。また、副次的な作用として、肌に潤いが戻る、髪にハリ、ツヤが出る、抜け毛が減少するなど、一定の「美容効果」も認められています。

1-3.その他の作用

ホルモン充填療法その他の作用あまり知られていませんが、ホルモン充填療法は「性交痛」を改善する治療法としても有効です。更年期以降にあらわれる性交痛は「萎縮性膣炎」によって引き起こされる事例が多く、女性ホルモンにはその症状を緩和する作用があるといわれています。また、膣粘膜に潤いをもたらす働きがあるため、スムーズな性交に資する治療法としても注目されています。

さらに、排尿に関係する筋組織を増やし、頻尿・尿失禁を改善したり、卵巣の機能不全を治療したりと、HRTは様々な形で効果を発揮します。特に、多くの女性に見られる「月経不順」、43歳以前に閉経を迎える「早発閉経」などに効果的で、卵巣機能をサポートする治療法として、HRTは年々その実績を高めています。

一部、肩こりや関節痛、腰痛などにも効果が認められていますが、その作用は限定的。これらの症状は生活環境や整形外科的な要因によるところも大きいので、他の治療法と並行して行われる場合が多いようです。

2.生活習慣病や美容との関係

2-1.骨粗しょう症と血管の病気を予防する

骨粗しょう症・生活習慣病の予防HRTの効果としては、骨粗しょう症や生活習慣病の予防・改善も大きなポイントです。女性は男性に比べ骨量が少なく、閉経後はさらに減少が加速します。30代半ばから10年間で20パーセント以上も骨密度が減少し、関節痛・骨折などの症状に悩まされる方も少なくありません。80歳以上になると約7割の人が骨粗しょう症を発症しているといわれています。

エストロゲンには骨の形成を促進する作用があり、ホルモン充填療法にも同様の働きを期待できます。そのため、近年では骨粗しょう症を予防・改善する目的でピル(ホルモン剤)を服用するケースも増えています。ただし、並行して栄養バランスの改善、適度な運動など、生活習慣そのものを見直す試みも大切です。HRTは、あくまで骨粗しょう症の治療をサポートするものとして理解してください。

ホルモン補充療法には、血管の病気(動脈硬化、高脂血症、心筋梗塞、脳梗塞)を予防する効果も期待できます。エストロゲンには、悪玉コレステロールの増加を抑え、血管を若く、しなやかに保つ働きがあります。結果として、心疾患、脳血管障害のリスクを抑制し、命に関わる重篤な病気を予防してくれるわけですね。こうした作用に着目し、欧米では更年期前からピルを服用する女性も少なくありません。

2-2.ピルで「若返り」の効果も?

ピルの若返り効果ピルに含まれるエストロゲンは、女性に「嬉しい副作用」をもたらす物質としても知られています。例えば美肌効果。コラーゲンの増加を促すため、肌に潤いやハリが戻る女性が多いようです。ただし、すでにできてしまったシワ、シミなどが消えるほど劇的な効果は期待できません。

また、美容効果には個人差も大きく、胸が大きくなる、ニキビが改善される、髪がキレイになる、抜け毛が減る…など様々な体験談があるようですが、全くと言ってよいほど効果が見られないケースも少なくないようです。美容上のトラブルは、必ずしも女性ホルモンの不足に起因するものばかりではありません。ネット上にはピルを「若返りの秘薬」とする誇大広告も多く見られますが、過信は禁物です。

ただ、更年期の症状がストレスを生じる可能性は高いので、その解消が美容面に好ましい影響をもたらすケースは珍しくないようです。例えば、更年期の症状が緩和され「生活の質」が向上し、好ましい影響が美容面に波及することは考えられるでしょう。美と健康は密接に関係するもの。事実、美容上のメリットを実証するデータも数多く報告されています。

3.副作用と注意点

3-1.副作用の実情

ホルモン充填療法の副作用ホルモン充填療法については「副作用が怖い」というイメージを持っている方が少なくありません。しかし実際には、非常に安全性の高い治療法であり、むしろ様々な病気を予防する効果に優れています。例えば発がん性。近年の研究では、ピルを服用することで子宮がんの発生を抑制する効果が確認されています。

また、定期的にピルの処方を受けることで定期健診が習慣化し、結果として様々な病気の早期発見・早期治療に役立つ事例も多いようです。月に一度の診察→ピル(ホルモン剤)の処方から自然に「かかりつけ医」との関係が成立するわけですね。健康状態や年齢を問わず、なんでも相談できる、頼れる医師の存在は貴重なものです。

閉経後にピルを服用すると、月経と同様の出血が見られます。しかし卵巣の機能が回復したわけではないので、妊娠する恐れはありません。ただし、若い女性が月経不順の治療のために服用する場合は「排卵を促す」目的で用いられるため、妊娠の可能性があります。

主な副作用としては、頭痛、不正出血、乳房の痛み、吐き気や嘔吐、動悸、腹痛などが報告されています。副作用がきつい場合には、服用する「薬剤の種類を変える」、もしくは、しばらく服用を続けることで、症状が緩和されるかどうか「経過を観察する」ことになります。

3-2.使用上の注意とリスク

HRT使用上の注意HRTと肥満の関係を心配する声も多いようですが、両者の間に明確な因果関係はありません。ただし、治療後に様々な症状が改善し、結果として食欲が増進される可能性はあるようです。健康が回復したので食事が美味しく感じられる→食事の量が増える→肥満というケースですね。一方では「むくみ」が解消され、1~2キロ程度は体重が減少する例も多く見られます。

命に関わる危険性としては、血栓症、塞栓症など「血流の悪化」が報告されていますが、ごく稀な症例なのでそれほど心配する必要はありません。ただし、高血圧の方、喫煙の習慣がある方、高齢者など、発病のリスクが高いので注意。また、心臓や肝臓、腎臓に疾患がある場合や、肥満の度合い、過去の病歴などによっては、ホルモン剤の処方が見送られる場合もあります。

日頃の習慣としては「こまめな水分補給」が大切。水分が不足すると血流が悪化し、血栓症のリスクが高まります。意識して水分を補給し、血液をサラサラに保つよう心がけましょう。

HRTは安全な治療法ホルモン充填療法(ピルの服用)は、基本的にはごく安全な治療法です。更年期の諸症状、月経前症候群(PMS)など劇的に改善されるケースも多く、欧米では急速に普及が進んでいます。しかし、日本ではいまだに危険性・副作用を懸念する声が根強く、その実効性が十分には周知されていません。

そのため、つらい症状を「我慢」して、様々な悩み、不安を抱えている女性も多いようです。本来「不要な苦労」が、「治療可能な病気」が、人生の充実を妨げているとしたら…。
更年期障害だけではなく、

生理前のイライラを何とかしたい!
生理痛がつらい!
もっと豊かなセックスライフを楽しみたい!

そんな理由でも全然OK。ぜひホルモン充填療法(HRT)による治療を積極的に検討してみましょう。

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