心に関係する病気③ うつ病・強迫神経症・不眠症

心に関係する病気3

」が要因となって発症する病気の中には、自分では「病気だと気づかない」、周囲には「病気だと分かりづらい」ものも多く含まれています。

そのため、発見や治療が遅れる事例が珍しくないようです。

また、職場や家庭で病気に対する「理解」、つらさに対する「共感」が得られないために、診断後も苦しい立場に置かれる患者さんが多いといわれています。

うつ病」は「甘え」、「強迫神経症」は「変な癖」、「不眠症」は「注意力散漫」や「居眠り」… という具合です。

以下、このつの病気に関して正しい知識を確認するとともに、ありがちな「誤解」を払拭しておきましょう。

1.うつ病

1-1.主な症状と原因は?種類についてもチェック

意欲(やる気)が起きない、何をやっても楽しくない…
うつ病」はそのような症状でよく知られた病気です。

「心の病気」の中では、最もポピュラーな存在といっても良いでしょう。

この他の症状としては、不眠や頭痛、めまい、肩こり、慢性的な疲労感や倦怠感、食欲不振などが挙げられます。

ただし、症状には個人差も大きく、以下に挙げるような分類で区別されることもあります。

非定型うつ病(プチうつ病)

20~30代の若い年齢層の間で流行しているタイプ。

通常、うつ病と診断されるのは症状が2週間以上継続した場合に限られますが、非定型は楽しいことがあったり、つらいことが終わったりすると、一時的に症状が治まります。

例えば、出勤時にはつらい状態が続いて、週末にかけて症状が回復、月曜日からまた再発… といった典型例がよく知られています。

周囲からは単に若者の「甘え」と見なされるケースも多く、本人もうつ病だと自覚していないケースが少なくありません。

仮面うつ病

気分の落ち込みなどがあまり自覚されることなく、頭痛や肩こり、めまいなど、「体の症状」が目立つタイプのうつ病です。

内科などで検査を受けても原因が分からず、発見の遅れる事例が多いといわれています。

退行期うつ病

加齢によって引き起こされるうつ病の総称。

退職に伴う環境の変化、ホルモンバランスなどが主な要因として指摘されています。

特に女性は、更年期に差しかかる頃からうつ病を発症するリスクが高くなり、男性と比較して発症率は約3倍とするデータもあります。

更年期以外にも、妊娠中や産後、月経前の1~2週間にうつ病を発症する女性は少なくありません(いずれもホルモンバランスが影響しています)。

1-2.一般的な治療法

うつ病

治療が難しい病気だというイメージの強いうつ病ですが、最近では効果的なお薬が数多く開発・処方されています。

抗うつ剤をはじめとして、症状に応じた投薬が広く効果を発揮します(不眠には睡眠薬、頭痛には鎮痛剤といった具合ですね)。

ホルモンの影響が要因である場合には、ホルモン剤もあわせて処方されるケースが多いようです。

したがって、「更年期障害の治療=うつ病の治療」となる事例も珍しくありません。

また、職場のストレス、過労など、原因が環境にある場合には、一時的な休養によって心身を休めることも大切です。

2.強迫神経症

2-1.主な症状や行動パータン

強迫神経症」は、色々なことや物が「気になり過ぎてしまう」病気。

例えば、戸締りや電気・ガスのスイッチが気になって何度も確認を繰り返す(そして外出が難しくなる)、手の汚れが気になって何度も洗う、といった症状が典型例として挙げられます。

症状のあらわれ方は人によって様々で、異常なほどの「潔癖症」、誰かを傷つけてしまうのではないかという「強迫観念」、些細な物事の理由や原因が気になる「詮索癖」なども症状に含まれます。

症状が進行すると他人に確認・保証を求める「巻き込み型」の行動が多く見られるようになります。

真面目で几帳面、完璧主義的な傾向のある人は発症のリスクが高いといわれていますが、詳しい要因はまだ分かっていません。

女性は産後や更年期に発症する例が多く、ホルモンバランスの影響が指摘されています。

患者さんの年齢層を見ると思春期~20代の若い人たちに多く、必ずしも珍しい病気ではありません。

軽いものも含めると約2パーセントの人々が強迫神経症であると報告するデータも存在します。

2-2.一般的な治療法

強迫神経症

軽度の強迫神経症については、自然と治まる場合が少なくありません。

特に女性が産後に経験する症状は、一過性のものが大半だといわれています。

思春期に見られる問題行動に関しても、加齢に伴い解消される事例が多いようです。

慢性化しているケースに対しては、抗不安薬の処方、カウンセリング(精神療法)など並行して行なわれます。

具体的には、不安を感じる状況にあえて身を置く「エクスポージャー」、強迫行為を禁じる「反応妨害」などが効果的なアプローチ法として採用されています。

いずれも特定の状況に「慣れる」ことを目的に実践され、必ずしも「心」の問題を根本から解消するものではありません。

日常生活に支障がない軽度の強迫観念、強迫行為については「個性」と見なす考え方もあります。

治療に際して欠かせないのが、周囲の人々の理解とサポート。

問題行動を単に「変な癖」として蔑視するのではなく、「症状」として受け止める姿勢が求められます。

病気に苦しんでいる当人は、自分でも「おかしい」、「無意味な行動」だとは分かっています。分かってはいるけど、やめられないのです。

ですから、強迫行為をやめるように「説得」したり、馬鹿馬鹿しいからと「叱責」したりするのはNG。

無用のストレスを与えてしまうだけです。家族や知人は、医療機関の受診を勧め、治療の経過を「温かく見守る」くらいのスタンスが理想的です。

3.不眠症

3-1.主な症状と原因

不眠によって起こる症状を総称して「不眠症」といいます。

具体的には、集中力・判断力の低下、疲労感、日中の眠気など、日常生活に支障をきたす状態を指します。

日本では5人に1人が不眠症を経験するといわれていて、けして珍しい病気ではありません。

不眠症は中年以降に発症するケースが多く、加齢とともに増加する傾向があります。

不眠の原因としては、

寝具が合わない、騒音、明るさなど「環境」によるもの

無呼吸症候群など他の「病気」によるもの

夜勤、旅行先の時差などによって生じる「生活のリズムの変化」

心配事、悩みなどによる「ストレス」

カフェインなどの「刺激物」や「薬物」の影響

「加齢」や加齢に伴う頻尿、慢性的な痛みなど「身体要因」

などが考えられます。

3-2.不眠の種類

不眠の症状は大きく3つに分類されます。

入眠困難 … なかなか眠れない、「寝つきが悪い」状態

中途覚醒 … 夜中に何度も目が覚める、明け方に目が覚めて眠れない

熟睡障害 … 熟睡したという満足感が得られない、「眠りが浅い」状態

症状は日によって変わったり、同時に複数の症状があらわれたりすることもあります。

3-3.一般的な治療法、家庭で実践できる対策

不眠症

単に「安眠できない」だけなら実害(健康被害)はなく、必ずしも治療が必要だとは限りません。

しかし、不眠のせいで日中に極度の眠気に襲われたり、注意力が低下したり、日常生活に支障をきたす状態が慢性化すると、医療機関で治療が必要になります。

治療のためには不眠の「原因」を特定しなくてはなりません。不眠の原因に応じて、問題点の解消を図るわけですね。

例えば、ストレスは適度な運動で解消する、カフェインなど刺激物の摂取を控える、規則正しい生活で睡眠と覚醒のリズムを正常化する… などなど。

原因が特定できない、対策を講じても症状が緩和されない…
といったケースでは、睡眠薬が処方されることもあります。

睡眠薬については「依存性」を気にする方も多いのですが、適量を正しく用いれば問題ありません。

中には「寝酒」と称してアルコールを摂る人もいますが、これは逆効果。

アルコールは睡眠の「質」を低下させ、かえって不眠症を悪化させるリスクが高いといわれています。

不眠は意外に「気の持ちよう」によるところが大きく、「無理に寝ようとしない」姿勢が大切。

「眠れない」ではなく「眠らない」状態を作ると効果的です。

例えば、音楽を聴く、読書するなどしてリラックスすれば、自然な眠気を催しやすくなります。

習慣として、就寝前にぬるめのお風呂にゆっくり浸かったり、軽くストレッチをしたりするのもおすすめです。

以上、3回に渡って「心に関係する病気」について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

「生活が多様化すれば病気も多様化する」といわれています。

今後も私たちの心の様相、環境の変化に応じて、様々な病気が、心身症が流行することでしょう。

心と体の健康は幸せの両輪

日本に生きる女性にとって、家事や育児、そして就労をとりまく環境は、けして充実したものではありません。

そんな中にあって、多くの女性はストレスフルな生き方を選択し、つい「心の健康」を軽視しがちです。

ときには「心」を労わり、未来への活力を養う「準備期間」、自分への「ご褒美タイム」を設けてみてはいかがでしょうか。

「心」と「体」の健康は「幸せ」の両輪。どちらも人生に欠かせない「力の源」なのです。

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