独身女性の老後①意外と楽しみ?一人暮らしの幸せは「住まい」から

独身女性の老後1
ライフ(人生)

高齢化の問題は「女性の問題」

いまだ先行きの見えない介護、医療、そして年金といった諸問題。

これら高齢化社会の抱える様々なリスクは、実は「女性の問題」だと言われています。
その理由は、男性に比べて女性の方が平均寿命が長いから。

2017年の統計では、男性の平均寿命80.98歳に対して、女性は87.14歳。
約6歳の差があります。

比率で見ると、85歳以上の男女は実に3:7という人口比に。
65歳以上で「配偶者のいない女性」は半数を超えていますし、その数は年々増え続けています。

※例えば「生涯未婚率」を見ると、女性は14%が「一生独身」という結果に。
その割合は5年間で3%以上も増加しました。

さらに既婚女性の場合でも、「死別」や「離婚」などが原因で、80歳以上になると8割以上の女性が「独身」となります。

多くの女性が独身で老後を迎える「シングルアゲイン」の時代

シングルアゲインの時代
男性より女性の方が長生きする。
生涯独身を貫く女性が増えている。

以上2つの事実から導き出される結論は、「女性の老後は独身が当たり前」という社会。

しかもそう遠い未来の話ではなく、今の30代~40代は、当然のように「一人暮らしの老後」を余儀なくされそうです。

子どもがいるから大丈夫、とは限りません。

子どもの同居率は1980年代は約7割でしたが、2014年の時点で約4割にまで減少。

高齢者の単身世帯は今も増加傾向にあり、「子どもによる老後のサポート」も(ほとんど)期待はできない模様です。

すなわち、既婚の女性も未婚の女性も、老後はみんな一人。

ただ、「生涯独身」の女性と「老後に再び独身に戻る」女性とでは、少し事情が違うようです。

離婚や死別で独身になることを「シングルアゲイン」と言いますが、「老後のシングルアゲイン」は、なかなか大変。

体力や判断力の衰え(それら老化に伴う諸問題)と折り合いをつけながら、再び「一人暮らしのノウハウ」を身につけなくてはならないのです。

「生涯独身」なら、長年かけて培った「一人暮らしのコツ」が、老後もそのまま活きてきます。

しかし老後にシングルアゲインを迎えた場合、その人は「一人暮らしの初心者」。
精神面でも経済面でも、不安を覚える女性が少なくないようです。

意外に幸せ?一人暮らしの老後を「あえて選ぶ」女性たち

一人暮らしの老後を選ぶ
しかし必ずしも悲観する必要はありません。

2016年に内閣府が実施した調査によると、一人暮らしの高齢者の8割近くが「今のまま一人暮らしで良い」と回答しています。

「あなたはどの程度幸せですか。10点満点で表現してください」という質問に対しては、半数以上の高齢者が5点以上の回答。
平均点は6.59で、一定以上の高い満足度が伺えます。

近年「熟年離婚」の件数が増加傾向にありますが、それも裏を返せば、「女性が老後を独身で生きていける世の中になった」ことの証左かもしれません。

老後を幸せに過ごすための条件

老後を幸せに過ごすための条件

独身で老後を迎えるなんて悲惨!
高齢者の一人暮らしは孤独との闘い!

…そんなイメージは、すでに過去のもの。

高級ホテルのように豪華な高齢者専用住宅、プロフェッショナルがきめの細かなサービスを提供する介護施設。

高齢者同士の「共同生活」という選択肢だって一般化しつつあります。
(実際にマンションなどを「ルームシェア」する高齢者も増えています)

新たなコミュニティが形成されていく中で、女性の多くは(男性以上に)上手く現在の環境に適応しています。

老後の「幸福度」を調査したアンケートを見ると、女性の方が軒並み高い値を示しています。
一方で、「配偶者あり」と「配偶者なし」で比較すると、幸福度にそれほど大きな差はありません。

参考:~ 高齢者の「幸福度」は、何と関係しているのか? ~

このようにして見ると、老後を幸せに過ごすための条件は、意外と少ないのかもしれません。

老後の女性が幸せの指標として挙げるのは、

健康
お金(経済的な余裕)
精神的な充実

以上3つの要素に集約されるようです。
幸か不幸か、配偶者の存在は女性の幸福度にあまり影響を与えません。
(一方で男性は配偶者によって幸福度が大きく左右されます)

「子なし」女性の老後は不幸?

子なし女性の老後
各種の統計からは「独身女性の老後は意外と明るい」という事実が見て取れます。
どうやら配偶者(夫)がいなくても、老後は何とかなるらしい。

では「子ども」の有無は女性の老後にどのような影響を与えるのでしょうか?

「子どもや孫に囲まれて暮らす」というのは、戦前から広く浸透している「幸せな老後観」です。
一種の典型と言ってよいでしょう。

しかし高齢者の幸福度調査を見ると、中途同居(高齢になってから子どもと同居するケース)で幸福度はむしろ低下しています。

もう一つの事実として、裕福な高齢者ほど一人暮らしを選ぶ傾向が強く、子どもとの同居は敬遠されています。

一人暮らしは高齢者にとって「苦渋の選択」ではなく、ぜひとも選びたい「贅沢」なのです。

少なくともデータの上では、「子どもに面倒を見てもらう幸せな老後」はフィクションに過ぎないのかもしれません。

同居生活には、嫁姑の問題があり、世代間でライフスタイルも違えば、価値観も異なります。
変に「やっかい者」として扱われるよりは、一人暮らしの方がよほど気軽で楽しいはず。

事実として、経時的に余裕のある高齢者の多くは、「子どもとの摩擦」を「同居しない」という選択によって回避しています。

すなわち、老後の幸せに子どもの存在(そして同居)は大きく影響しない。

この事実もまた、私たち独身女性にとってはある種の福音と言えるのではないでしょうか。

「独身女性の老後は不幸」は偏見に過ぎない

独身女性の老後の不幸は偏見
先ほど述べたように、老後の幸せを大きく左右するのは、「健康」「お金」「精神的な充実」の三要素だと(少なくとも統計的には)分かっています。

もちろん、統計上は見えてこない「人それぞれの幸せ」や「個人的な幸福観」も無視できないものです。

例えば、「絶対に子どもが欲しい!」「孫の顔が見たい!」という女性に対して、「老後は一人でも意外に幸せだよ」と言ったところで、同意を得ることは難しいでしょう。

個人それぞれが思い描く幸せな老後(観)を否定することは、誰にもできません。

しかし一方で、「独居老人」「孤独死」に象徴されるような、「一人暮らしの老後は悲惨」という否定的なイメージに対して、私は異議を申し立てるつもりです。

事実、様々なデータや統計は「独身女性の意外に幸せな老後」を裏付けています。
大切なのは自縄自縛の状態に陥らないこと。

「結婚しないと老後が大変だよ」
「子どもがいないのに、老後は誰に面倒を見てもらうの?」

そうした「悪魔のささやき」に耳を傾けていると、むやみに不安ばかりが募っていきます。

結婚も出産も、女性の老後には必ずしもプラスに影響しない。
「独身女性だって、そのままの形で幸せな老後を迎えられる」というのが、現段階における日本の実情です。

独身の老後でも「住まい」さえあれば何とかなる!

一人暮らし可能な住まい
「老後の一人暮らしはハードルが高い」という風によく言われます。

「自分で自分の面倒を見る」ためには、やはり相応の貯蓄(お金)が必要ですし、精神と肉体の「健康」も高い水準で維持しなくてはなりません。

とはいえ、それらの諸条件を突き詰めて考えると、かなりシンプルな結論が見えてきます。

前提条件は「一人暮らし可能な住まい」があること。

「健康」「お金」「精神的な充実」の三要素はその上にこそ成立するものですし、逆に言えばそれらの要素は「質の良い住まいさえあれば自然に整う」ものです。

例えば健康は、バリアフリーの行き届いた住宅や、巡回(在宅)型の介護サービスでカバーできます。
温暖な気候や利便性を求めて引っ越しするのも良いでしょう。

お金(経済力)は、家賃や住宅ローンの有無によって大きく増減します。

住宅費が生活費を圧迫するようなら、老後はあえて「田舎暮らし」を選択するのも良いかもしれません。
生活費を大幅に節約でき、相対的に経済力が向上します。

「精神面の充実」は、人間関係によるところが大きいです。

友人との共同生活(ルームシェア)、地域コミュニティ、高齢者専用住宅、およびその共有スペースなど活用し、「孤独を回避」するための対策を講じてはいかがでしょうか。

ことほど左様に、質の良い住まい=住みよい環境さえあれば、独身女性は老後に想定される多くの問題をクリアできます。

健康じゃないと無理!
お金持ちじゃないとダメ!
精神的にタフな女性だけ!

…とは限らないのですね。

「持ち家」もけして贅沢品ではない

老後は質の良い住まいを
「老後は質の良い住まいを!」という主張に対しては、「でも結局は、お金がないと一人暮らしの住居も手に入らない」という反論が寄せられるかもしれません。

しかし現状においても、高齢女性の「持ち家率」は7割以上。

親や夫の死後に不動産を相続する女性も多いですし、不動産の価格はどんどん安くなっています。

今後、日本は「人口減少社会」を迎えます。
急増する「空き家」が問題化していることからも分かるように、将来の住宅事情は「供給過多」がほぼ確実。

※2040年には不動産価格が現在の3分の1にまで下落するという試算もあります。
参考:三浦展著「日本の地価が3分の1になる!」

「お金持ち」といえるレベルの経済力がなくとも、介護サービスやバリアフリー、立地条件などの整った「質の良い住まい」が、恐らくは「そこそこの価格」で手に入るはずです。

必ずしも「持ち家」は必要ありません。
より安価な「賃貸住宅」だって、独身女性の老後を充実させてくれる魅力的な選択肢です。

ケア付きの集合住宅、地域コミュニティや共同生活によって運営されるマンション、近年急速にリノベーションの進む団地…
などなど。

高齢社会を見据えて、「住宅の再利用」が今後ますます広がっていくことでしょう。

そもそも一人暮らしの老後には、「ワンルーム」以上の住居は不要かもしれません。

LDKの住居は持て余し気味になる高齢者が多いですし、ワンルームなら住居費が安い分、その他の生活費(介護サービスや交際費など)により多く出費できます。

「質の良い家=広い家」とは限りませんし、「住みよい環境=贅沢品」でもない。
独身女性でも「そこそこの老後資金」さえあれば、魅力的な住居がきっと手に入るはずです。

今回のまとめ

まとめ

老後の女性はその多くが「独身生活」を余儀なくされる

「一人暮らしの老後は不幸」というイメージは、統計的に誤り

男性よりも女性の方が「老後の幸せ」を実感している

配偶者や子どもの存在は、必ずしも老後の幸せと相関しない

老後の幸せ3要件 … 健康・お金・精神的な充実

幸せの前提条件は「質の良い住まい」

たとえお金がなくても、将来的には質の良い住まいが安価で供給される(可能性が高い)

次回は独身女性の老後と「孤独」「人間関係」の問題を考えていきます。

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● 文/マイハピ編集部

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