独身女性の老後③貯蓄はいくらあればいい?一人暮らしとお金の話

独身女性の老後のお金
ライフ(人生)

老後に頼れるのはお金だけ」という人がいます。

身も蓋もない言い方ですが、一面の真実を突いているかもしれません。高齢社会の問題は、煎じ詰めれば「お金の問題」。

年金、介護費用、医療費、その他諸々の福祉や保険制度…
お金の話を抜きにして、これらの問題を語ることはできません。

特に独身女性にとって、「老後資金」=「老後の備え」は切実なテーマ。

頼りになるのは自分だけ」という生き方は、「頼りになるのはお金だけ」という生き方とニアリーイコールです。

老後の一人暮らしにどれくらいのお金が必要なのか。老後資金の多寡が生活にどう影響するのか。

貯蓄、生活費、節約術などの観点から、老後のマネープランを考えていきます。

お金で買えない介護と医療の「質」

お金で買えない介護と医療
前言を翻すようですが、まずは「お金で手に入らないものもある」という事実から確認しておきましょう。たとえば介護。介護の質は、必ずしも費用(料金)と比例しません。

お金よりはむしろ、支援者との人間関係や、介護施設を見きわめる力(情報を収集する能力)、介護される人の健康状態によって大きく左右されます。

つまり、

自分と相性の良い人に看てもらう
介護施設を厳選する
できる限り健康を維持する

以上のような「心がけ」が大切であって、「お金持ちなら至れり尽くせり」というわけではありません。

医療についても(ある程度は)同じことが言えるでしょう。社会保障制度の「平等」=「均一化」が進んだ日本という国においては、「誰でも」「どこでも」似たような医療サービスを利用できます。

「お金があれば末期がんでも助かる」ということはないですし、「お金がないせいで治療できない」ということもありません。

もちろん、介護と医療に「格差」が全くないわけではないのですが、お金で差がつくのは「オプション」の範囲。

介護と医療(つまり老後のケア)はお金があっても極端に変わらない、誰でもほぼ平等に利用できるのです。ちょっと安心ですね。

それでも老後の備えはあった方が良い!

老後の備え
「老後の幸せはお金で買える」とは言えないにしても、やっぱり老後の資金は色々と役に立ちます。お金があるということは、「選択肢が増える」ということ。

介護や医療など、「命」に関わる部分は差がつきにくいのですが、衣食住の質は経済力とほぼ比例します。

生活費について言えば、とりあえずは月5万円が最低のライン。

ケア付きの住宅では、食費込みで月12万円~15万円が料金の目安となります。(交際費など込みで、月30万円あれば「贅沢な暮らし」を維持できるでしょう)

2017年現在、厚生年金の平均額は男性が18万円、女性が9万円。「年金だけでなんとか暮らせる」環境が整っています。

しかしながら、いま30代~40代の独身女性が将来「年金だけで暮らせる」かといえば、先行きは不透明です。

主なリスク要因は、

年金の「受給額」が減額される
年金の「受給年齢」が引き上げられる
消費増税や医療、介護費用の自己負担増

など。

少子高齢化が急速に進むと確実視されている以上、日本の経済・福祉政策と高齢者に関わる諸問題は、ますます先鋭化していくことでしょう。

やはり「老後の備えは多いければ多いほど良い」と言えそうです。

時代の変化?シニア世代の意外な節約術

シニア世代の節約術
「老後のお金」に対する不安は、すでに意外なところから表出しています。

たとえば「冠婚葬祭」の縮小傾向。結婚はしても、結婚式はナシ。葬儀は家族葬。
親戚付き合いは疎かになり、その風潮に伴って「ご祝儀」文化も後退しているようです。

こうした流れは、私たち独身女性にとって福音ではないでしょうか。

「未婚」で「子なし」だと、一方的に与える(収奪される)ばかりで、リターンのないご祝儀。その風習が廃れることは、トータルで数十万円~数百万円という「節約」を意味します。

さらに「一生結婚しない」「出産しない」「自分の葬儀代も必要ない」とすれば、かなりの資金を老後に回すことができるでしょう。

早くも今のシニア世代で「冠婚葬祭の縮小」「ご祝儀文化の後退」が進行中。

超高齢化社会を迎える日本で種々の「老後の不安」が囁かれる中、「背に腹は代えられない」ということでしょうか。

※なぜか「お年玉の金額」だけは増額傾向にありますが、これは恐らく少子化の影響。
子どもが少ない →「成人してもお年玉をもらう」世代が出てきたために、「子ども一人当たりの金額」が増えているものと予想されます。

「親戚付き合い100人」の時代も、今は昔。高コストな文化や風習は、これからますます廃れていくことでしょう。

独身女性が「年金だけ」で暮らしてくのは困難

老後資金は貯蓄と年金
老後資金は「貯蓄」と「年金」の二本柱。

基本的な生活費は年金で、日々の「ゆとり」は貯蓄を切り崩して捻出する、というのが老後の標準的なマネープランです。

サラリーマン世帯の平均的な年金受給額は月額23万円。夫婦2人の生活でこの金額+貯蓄があれば、まずまずの生活水準を維持できるでしょう。

ただし、死別や離別をした場合、独身女性の年金受給額は月額約12万円。

ケア付きの住宅に何とか入居できる金額ではありますが、生活に「ゆとり」を見出すのは難しいかもしれません。

いま20代~30代の女性は、さらに深刻な状況に置かれる可能性があります。

「女性の貧困化」が進む昨今、たとえばシングルマザー(母子家庭)の世帯などで、年金の未納問題が常態化。将来的に「無年金」「低年金」で老後を迎える女性も多いのです。

そうでなくても、アルバイトや派遣社員の多くが加入している「国民年金」の受給額は、満額で月6.5万円。

独身女性には非正規雇用者が多いので、将来的には「雀の涙」ほどの年金で老後を迎えなくてはなりません。

老後も生活の水準を維持する方法。選択肢は3つ

老後の生活水準を維持する方法
年金が当てにならない以上、私たち独身女性は自助努力で老後の生活を支えなくてはなりません。
具体的な方策としては、

貯蓄する
老後も働く
共同生活

以上3つの選択肢が考えられるでしょう。

老後に必要な貯蓄の平均額は、独身世帯で約2,000万円。「ゆとりある老後」を送るためには3,000万円~4,000万円が必要だといわれています。

しかしながら、30代独身女性の平均貯蓄額は「300~400万円未満」が約半数。

「あと30年で1,500万円貯蓄しなさい」というのは、あまり現実的でないかもしれません。(少なくとも私は気が遠くなりそうです…)

…とすれば、多くの独身女性は「老後も働く」ことを余儀なくされそう。

不幸中の幸いと言いますか、日本は今後、労働人口が不足する見込みなので、働き口は比較的容易に見つかるでしょう。

年金 + 貯蓄 + 日々の収入(シニア雇用)で、とりあえずは「ゆとり」を確保できるはず。

「老後はのんびり過ごしたい」という方には、最後の選択肢である「共同生活」がおすすめ。

老後の一人暮らしは経済的に何かと大変ですが、最低限、家賃だけでも「シェア」すれば、生活はだいぶ楽になります。

意外と楽しい?共同生活で贅沢な暮らし

高齢者の共同生活
「高齢者が共同生活なんて…」と違和感を覚える方も多いのですが、すでに欧米では「老後のシェアハウス」が一般化しています。

高齢者が一つ屋根の下で生活を共にするグループリビング(グループハウス)。様々な世代の住民が集うコレクティブハウス。そして日本でも急速に増えているシニアハウス(高齢者向け住宅) 。

共有する空間や時間にはそれぞれ幅がありますが、広義においてはいずれも「共同生活」です。

共同生活のメリットは、人員一人当たりの生活費が「安上がり」なこと。家賃、食費、光熱費など、共有する割合が大きいほど費用を節約できます。

その分一人一人の生活に「ゆとり」が生まれるので、実質的には「贅沢な暮らし」が可能になるわけですね。

一方で、共同生活に関しては、「プライバシーがない」「人付き合いが面倒」などといったデメリットを指摘されることもあります。

しかし実際には、共有する空間や時間を個々人で選べる住居も多く、「一人になりたいときは一人」「みんなといたいときは一緒に」という柔軟性があります。

最近では医療や介護サービスと住居を一括で提供する「ケア付き高齢者住宅」も人気。

あわせて入居者向けのサークル、カルチャースクール、各種ツアーなど、コミュニティを活性化するためのイベントも企画されています。

すなわち共同生活は、

老後の孤立を回避する
生活費を節約できる
質の良い暮らし(医療や介護を含む)を維持できる

以上のようなメリットを網羅した、ほとんど唯一の選択肢かもしれません。

フリーターや非正規雇用者に「豊かな老後」は可能か

パラサイトシングル
共同生活を選択するにしても、最低限の老後資金は用意しておきたいもの。
しかし、「女性の6割は非正規社員」「独身女性の半数は貧困状態」と言われる日本において、果たしてどのような方策があり得るでしょうか。

独身女性を語る際、枕詞のように用いられる「パラサイト」。
「パラサイトシングル」といえば、親と同居し、その年金や収入に依存する単身者を揶揄する言葉ですが、その生活形態をある種の「社会保障」と見る向きもあります。

例えば、日本は欧米諸国と比較して若年層のホームレスが圧倒的に少なく、親との同居生活がセーフティーネットとして機能しています。

しかも私たちの親世代は、貯蓄率・持ち家率ともに異様なほど高く、年金の受給額も多すぎるほど。日本の歴史上最も「豊かな世代」だといわれています。

…とすれば、その資産を運用しない手はありません。聞こえは悪いかもしれませんが、ずばり「親のカネにぶらさがる」わけです。「パラサイト上等」と開き直れば、老後のマネープランはぐっと楽になります。

親と同居すれば(実家に何がしかのお金を入れるにしても)生活費は大幅に節約できます。浮いたお金は貯蓄に回せますし、親の死後には遺産金と不動産(持ち家)が残ります。それらを処分・運用すれば「老後の一人暮らし」には十分なはず。

独身女性は子や孫のことを考える必要がないので、自分の代でキレイさっぱり、親の資産を使い切って構わないのです。(遺す相手がいない以上、負い目を感じる必要もありません)

少子高齢化で「同居する世代」が再来

親との同居
親と同居なんて恥ずかしい?申し訳ない?
本当にそうでしょうか。

そもそも「独身女性は独り立ちしなくてはならない」という価値観自体が、いっときの「流行」に過ぎないかもしれません。

事実、「独身女性の一人暮らし」が「常識」として通用するようになったのは、ここ数十年の話。

むしろ日本では、未婚・既婚・男女を問わず親との同居が当たり前で、そちらの方には数千年という歴史があります。

そして恐らく、少子高齢化は「同居の時代」を招きます。日本という国の経済規模が縮小する以上、相互扶助の観点から、同居せざるを得ないのです。(すでに欧米では親と同居する若者が増え始めています)

高所得者1人に対して、数人がぶらさがる(パラサイトする)時代。家庭内において富の再分配、世代格差の解消が図られるわけですね。

国の福祉政策が後手後手の弥縫策(びほうさく)に終始している以上、これは仕方のない事態。いわば「時代の要請」ではないでしょうか。

最後に。「老後のお金」結論&まとめ

結論&まとめ
ここまでの論旨を見れば分かるように、現時点では、「老後の貧困は恐れるに足らず」というのが私なりの結論です。

その根拠は、

介護や医療サービスはお金の多寡に関係なく(ほぼ)平等に提供される

冠婚葬祭やご祝儀など、「お金のかかる文化」が急速に廃れている

労働人口の減少により「高齢者が働きやすい」世の中に

共同生活による「相互扶助」で日々のゆとりを捻出できる

数十年後に親世代の富(不動産や遺産金)が再分配される

以上5つのポイント。

独身世帯を中心に「老後の不安」が囁かれる昨今ですが、腐っても日本は世界有数の経済大国。最低限の暮らしは保障されるでしょう。

とはいえ、「老後の備え」が多いければ多いほど、個人の選択肢は広がります。

私たち独身女性は今から貯蓄および情報収集に励み、きたる「超高齢社会」の荒波にも余裕をもって臨みましょう。

「終活」に関する記事はこちら

● 文/マイハピ編集部

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