毒親の種類と特徴をチェック。毒親に育てられた人はどうなる?

誰にとっても親は特別な存在です。
しかし、必ずしも「愛しい存在」だったり、「尊敬できる人」だとは限りません。
中には「毒親」と呼ばれるような「悪い親」もいます。
親と会うと、気持ちが落ち着かない…
親の何気ない一言で傷ついてしまう…
親のことを考えるだけで、気分が憂鬱…
そんな場合はあなたにではなく、あなたの親に原因があるのかもしれません。
そして、あなたの感じている生きづらさ、不安や鬱の原因も、幼少期に毒親がもたらした後遺症かもしれないのです。
解決策は、毒親の正体を見きわめ、その対処法を身につけること。
「愛」「罪悪感」「親孝行」は不要です。
「復讐」や「絶縁」だって必要ありません。
以下、毒親対策の基本プランについて見ていきます。
※精神科医が大学で学ぶ教科書から抜粋し、簡単にまとめたものです
◆ 文/マイハピ 編集部
毒親とは?
毒親にはいくつかのパターンがあります。
例えば、
子どもに悪影響を与える親
◆ 子どもを褒めず、叱ってばかり = 自信を奪う
◆ 異常なほど甘やかす = 自立心を損なう
◆ 愚痴ばかり言う = 子どもの不安感を煽る
◆ 悪口や陰口が多い = 子どもは二面性(表裏)ができやすい
◆ 女は勉強しても意味がない、男はクズばかりなど、誤った価値観を押し付ける
子どもを支配(コントロール)する親
子どもの意見やプライバシーを尊重せず、命令が多いタイプの親。
常套句は、「お前のために言っている」「産んでやったことに感謝しろ」、「誰が食わせてやっているんだ!」など。
中には「一見したところは良い親」もいますが、実は「愛情で子どもを支配するケース」だったりするので要注意。
その特徴は「過干渉」という言葉に集約されるでしょう。
子どもに依存する親
子どもの前で泣いたり、むやみに謝ったりする親。
「死にたい」「寂しい」「~がつらい」といった言葉(不安)をよく口にします。
「面倒見の良い子ども」として「親孝行を強制する」パターンも。
子離れ(親離れ)ができない「友達のような親子関係」を形成する例もあります。
子どもを虐待する親
肉体的な暴力や、育児の放棄、放任(無関心)に加えて、「お前はブスだ」、「頭が悪い」、「生まなければよかった」など、「言葉による虐待」=「精神的な暴力」も含みます。
さらには、性的な虐待やセクハラ、モラハラ、脅し、無視、経済的な虐待(十分な食事を与えない、親だけが贅沢をする)なども含まれます。
毒親の行動は以上4つの種類に分けられます。
中には、複数の要素をあわせ持っていたり、自身の行動を巧妙に正当化する親も…。
例えば「優しい」「まじめ」「教育熱心」な親だったとしても、親にとって都合の良い「ルール」や「建前」によって子どもを苦しめることがあり得ます。
(子どもは必ず親の言う通りにしなくてはならない、親に反論する子はワガママな子だ、など)
毒親の特徴30
毒親と呼ばれる人々には特徴的な傾向があります。
あなたの親が毒親に該当するかどうか、以下の特徴に照らしてチェックしてみましょう。
30項目のチェックリストです。
※11項目以上該当すると、あなたは毒親に育てられた「被害者」である可能性が高いです
◆「~しろ」「~するな」といった命令口調が多い
◆ 子どもに「完璧」を求める
◆「やればできる」「努力が足りない」といった言葉でプレッシャーを与える
◆ その日の気分によって子どもへの接し方が極端に変わる
◆ 子どもの意見を(ほとんどすべて)否定する、無視する
◆ 子育ての苦労を金銭に置き換え口にする、またはその見返りを求める
(学費にいくらかかった、働いて返せなど)
◆ 感謝や尊敬を要求する
(育ててやって感謝しろ、老後は面倒を見ろなど)
◆ 子どもの恋人や友人について詮索する
(または、それらの人々の悪口・陰口を言う)
◆ 子どもの目の前で頻繁に夫婦喧嘩をしたり、父母がお互いの悪口を言ったりする
◆ 理由を説明することなく怒鳴ったり、特定の行為を禁止したりする
◆ 体罰や暴力によって子どもを従わせようとする
◆ 子どもの話を聞かない、話の途中で言葉を遮る
(自分ばかりが話している)
◆「行儀が悪い」「恥ずかしい」「大人しくしなさい」という言葉をよく口にする
(世間体ばかり気にしている)
◆ 表裏が激しく、家族にだけ見せる「別の顔」がある
◆ 学校や会社での出来事を根掘り葉掘り聞いてくる
◆ 子どもの好み、趣味、志向などを「くだらない」と言って認めない
◆ 子どものプライバシーや自由を侵害する
(自室に入る、日記を読む、スマホの中身をチェックするなど)
◆ 合理性のないルール(規則)を押し付ける
(またはクリスマスや誕生日など、世間一般のイベントを否定・無視・禁止したりする)
◆ 子どもの外見や性格について短所ばかり指摘する
(罵ったり馬鹿にしたりする)
◆ 塾やスポーツなど、やりたくないことを強制する
◆ 家庭内に笑いや温かみがない
(冗談を言い合ったり、気軽に話したりすることができない)
◆ 髪型や服装について、子どもに裁量権を与えない
◆「この家を出ていけ」「親子の縁を切る」などと頻繁に口にする
(脅しで子どもをコントロールしようとする)
◆ 何かにつけて子どもの犯したミスや間違いばかり指摘する
(些細な行為に対してもすぐ揚げ足をとる)
◆ 感情の起伏が激しく、すぐ不機嫌になったり、冷たくなったりする
◆ 子どもに最低限の衣食住を与えない
◆ 世間一般の常識を「正しくない」と批判したり、明らかな誤りを「正しい」と言って譲らなかったりする
◆ 子どもの感情を無視する、不安や苦しみに対して理解を示さない
◆ いつも子どものそばを離れない、一人でできることを一人でさせない
◆ 近い家系にアルコール依存症、家庭内暴力、精神障害、または身体的虐待や性的な虐待の経歴がある
毒親に育てられた人の特徴30
毒親は親子関係の悪化を招くだけでなく、子どもの人生全体に悪影響を及ぼします。
あなたがどのような不安を抱え、どのような悩みに苦しんでいるのか、以下のチェックリストで自己診断してみましょう。
毒親に育てられた人の特徴を見ていきます。
◆ 気分の浮き沈みが激しい
(または慢性的な「うつ」を発症している)
◆ 完璧主義で、常に何らかの焦りを感じる
(満足や心の安らぎを感じない)
◆ いつも他人にどう思われているか気になる
(自分で気にし過ぎだと分かっていても、考えることをやめられない)
◆ 男女関係、アルコール、薬物、または何らかの嗜好品に依存している
◆ 自分の子どもを不幸にしてしまいそうで、子どもを持つことが怖い
(または子育てに自信を持てない、戸惑いばかり感じる)
◆ 自分は恵まれていない、育った環境が悪かったと感じる
(そのせいで現在不幸だと思う)
◆ 親しい人間が相手でもなかなか「本当の自分」を出せない
◆ 喜怒哀楽が激しく、我を失うことがある
◆「普通の人」と自分では、幼少期の体験が違うと感じる
(他人の思い出話に共感できない、または羨ましいと感じる)
◆ 他人から批判されることや嫌われることを常に恐れている
◆ 自分がいま何をしたいのか、またはしたくないのか、頻繁に分からなくなる
(何をするにも優柔不断で迷ってしまう、他人からの指示が欲しくなる)
◆ 他人と対立することが苦手で、八方美人を演じてしまう
(反論や批判ができない)
◆ 世間の常識と自分の考えに「ずれ」を感じることがよくある
◆ 他人の前ではリラックスできない、自然に振舞うことができない
◆ 親の前ではいつも緊張する、不安になる
◆ 異性とのあいだに充実した交際関係が成立しない
(または交際することに困難を感じる)
◆ 摂食障害(過食や拒食、嘔吐癖など)がある
◆ 自傷癖がある
◆ ストレスを感じやすく、心身が疲れやすい
◆ 仕事上の人間関係で悩みやすい
(そのため転職を繰り返している)
◆ 自分に自信が持てない
(他人の多くは自分より優秀に見える)
◆ 親しい人が本当に自分を好きなのかどうか不安になる
(友情や愛情はあまり信用できない)
◆ 友人や配偶者、恋人に対して嫉妬深い
◆ 親しい人を傷つけてしまうことがよくある
(肉体的な暴力を振るう、暴言を浴びせてしまうなど)
◆「親と上手くやらなくてはならない」「老後の面倒を見なくてはならない」というような義務感を感じる
◆ 親の前では「良い子」を演じてしまう
(または、あえて「子どもっぽさ」を出している)
◆ 親を「重荷」だと感じ、そのことに対して罪悪感を覚える
◆ 親を恨んでいる
(復讐したい、絶縁したいと思うことがある)
◆ 親のようにはなりたくない、親に似てしまうことが怖いと感じる
以上30項目のうち11項目以上に該当した場合、あなたは「毒親に育てられた」可能性が高いです。
その影響は親子関係や幼少期にとどまらず、あなたの性格や、現在の不安・悩みに至るまで、ネガティヴな諸要素の原因となっているかもしれません。
続いて毒親に育てられた人の対処法、『毒親育ちの処方箋』を見ていきます。
毒親への対処法
まずは「毒親に育てられた」という自覚を持つ
毒親に育てられた人の多くは、何らかの問題を抱えています。
社会に出て「普通の人間関係」を確立できないとか、様々なストレスや不安、悩みに押しつぶされそうになり、平穏な日常生活を維持できないとか…
そしてトラブルに直面する度、「努力が足りない」、「生まれつきの性格だから私が悪い」、と「自己責任論」で自分を責める傾向があるようです。
しかし私たち人間は実際のところ、
● 親から受け継いだ遺伝子(生まれ持っての資質)
● 親から受けた教育(育てられた環境)
この2つの要素から形成されています。
つまり、「すべて親のせい」と言うこともできますし、「全ては運(が悪かったせい)」とある種の諦念に至ることもできます。
いずれにしても、まずは「毒親に育てられた」という自覚を持つことから始めましょう。
それは確かに人生上の「ハンデ」ではありますが、あなたが悪いわけではありません。
ですから自分を責めるのではなく、親と決別する(毒親から脱出する)姿勢こそ、問題解決への正しいアプローチとなります。
復讐はしない
「すべて親のせい」という観点に立つと、「復讐」という言葉が頭をよぎるかもしれません。
しかし親へ復讐するという行為は、親の呪縛から自由になることを意味しません。
むしろ心理的には親の存在が一層大きくなり、罪悪感で自身をいっそう苦しめるという結果にもなりかねません。
確かに復讐は怒りとカタルシスを招き、一時的にはあなたに活力をもたらしてくれます。
しかしそのあとに残るのは虚しさと後悔だけ。
少なくとも精神医学や心理学といった専門分野では、親へ復讐することによる「治療効果」は認められていないようです。
親を変えようとしない
毒親が自身の行動を改めることは、基本的にはありません。
もし変わることがあるとしても、相当の時間と労力(話し合いやカウンセリングなど)が必要です。
対処法としてはあまり現実的でないので、無理に親を変えようとしない方が良いでしょう。(徒労に終わる可能性も高いです)
ですから「あなたは毒親である」と非難する必要もありません。毒親への対処は秘密裏に、あなたの中だけで行いましょう。
「絶縁」するのではなく「疎遠」になる
毒親への対処法としては「絶縁」を勧める専門家も多いです。
しかし、あなたがそのことに罪悪感を覚える場合は、とりあえず「疎遠になる」ことから始めましょう。
心理的・物理的に一定の距離を置くことで、毒親から「脱出」するわけです。
適度に距離を取るだけなら、「親を見捨てた悪い子」という罪悪感に苦しむこともないですし、依存や支配からも自由になれます。
距離の取り方(疎遠になる方法)は人それぞれ
距離を取る方法は、人によって様々。
親子の関係性(現在の状況)に応じて、無理のないところから始めましょう。
例えば、
① 同居している場合は「一人暮らしを始める」
② 近くに住んでいる場合は「遠方に引っ越す」
③ 頻繁に行き来している場合は「顔を合わせる頻度を減らす」
(年末や年始など「たまに会いに行く」だけで十分かもしれません)
④ 連絡を密に取り合っている場合は「連絡の頻度を減らす」
(電話番号やメールアドレスを変えて「普段は一切連絡しない」のもおすすめ)
あなたが経済的に親に依存している場合は、
⑤ 就職する(または転職する) = 収入を増やして自立する
という選択肢が「親と距離を取る」ための第一歩となるでしょう。
距離の取り方には段階があります。
まずは無理のないところから始め、徐々に遠ざかっていくと良いでしょう。
距離を置くことで、逆に親子関係が改善したり、親の姿を客観視できるようになるケースも多いようです。
老後の面倒は見ない
「親の老後は子どもが面倒を見なくてはならない」という価値観は、日本ではいまだに「親孝行のあり方」として支配的な地位を占めています。
しかし毒親に限って言えば、そもそも「親孝行を請求する権利がない」のではないでしょうか。
仮に「親の老後は子どもが面倒を見なくてはならない」という意見を認めるにしても、それは「普通の家庭」にのみ適用される一種の「建前」に過ぎません。
しかしあなたは「普通の家庭」で育っていないのだから、普通のことをする必要はないのです。
幸いなことに日本は高齢者を優遇する高福祉国家です。あなたが面倒を見なくても、国や自治体が親御さんの老後をケアしてくれるでしょう。
毒親を「許す」必要はない
あなたが親から距離を置く過程で、親の方で「過ち」に気が付く可能性もあります。
中には謝罪や反省を試みる親御さんもいるかもしれません。
「確かに私の育て方が悪かった」
「今後は言動を改めるから、戻ってきてほしい」
一見したところは心のこもった反応ですが、こうした謝罪や反省を経て、親子関係が改善する例は(残念ながら)それほど多くないのが実情です。
ときに毒親は、子を離すまいとして同情を誘ったり、罪悪感に訴えたりします。
そうした行動は親子関係に新たな葛藤・煩悶を招きます。
すなわち心からの謝罪や反省すら、子どもを苦しめる凶器となり得るのです。
(しかし毒親にその自覚はありません)
親の側に悪意はないかもしれない。
しかしあなたは苦しんでいる。
…であるならば、毒親を許し、相手の要望に沿う必要はないはずです。
現在に至るまで、あなたは親の過干渉や支配に苦しんできました。親の都合に合わせて生きていくのは、もうやめにしましょう。
これからは自分最優先。人生における「優先順位の見直し」こそが最大の課題です。
そして、多少なりとも「余力」が生まれたら、その後にあらためて親子関係を考えてみましょう。
親を「許す」のはそれからでも遅くありません。
◆ 文/マイハピ 編集部
最終更新日:2021年4月11日
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