その症状は【膣カンジダ】かも!におい・かゆみ・おりものでチェック

写真で見ると、とても怖い病気「膣カンジダ」。
実は、女性の5人に1人が感染するごくありふれた病気でもあります。
性器(デリケートゾーン)のにおい・かゆみ・おりものの量が気になったら、念のために以下の項目をチェックしておきましょう。
◆ 文/マイハピ 編集部
膣カンジダの症状をセルフチェック
・性器およびその周辺から強いにおいがする
・性行為の最中にパートナーからにおいを指摘された
・性交時に痛みがある
・「おりもの」の量が増えた
・「おりもの」の色がいつもと違う(黄色、緑色、灰色、茶色など)
・外陰部にチーズ、ヨーグルトのような「おりもの」が付着している
・外陰部が腫れている。または赤みがある
・性器およびその周辺が「かゆい」
・膣の内側が「かゆい」
・性器や膣に違和感、痛み、熱を持ったような(焼けるような)感じがある
・最近、風邪を引いた。または疲労やストレスが蓄積している
・現在妊娠している。またはピルか抗生物質を服用している
以上の項目に該当する症状が多ければ多いほど、「カンジダ膣炎」「カンジダ症」の可能性が高いと考えられます。
膣カンジダとは?どんな病気?
カンジダは、私たちの体内に生息するカビの一種。
通常は害のないカビですが、疲労やストレス、免疫力の低下などにより、不快な症状を誘発することがあります。
一般的には、カンジダによって引き起こされる病気の総称を「カンジダ症」と言います。
そして、膣(性器)に症状が出ると「膣カンジダ」または「カンジダ膣炎」、「性器カンジダ症」などという風に言って区別します。
つまり、
● 膣カンジダの原因は「カンジダ」というカビの一種
● カンジダが原因で発症する病気の総称が「カンジダ症」
● カンジダ症には種類があって、女性の性器に症状が出るものを「膣カンジダ」と呼ぶ
● 膣カンジダの正式名称が「カンジダ膣炎」または「性器カンジダ症」
ということになります。
今回の記事では病気の名称を「膣カンジダ」に統一して解説します。
膣カンジダの原因
膣カンジダは「性病」のイメージが強いのですが、実際にはセックスの未経験者でも発症することがあります。
症状が出る主な原因は、
● 疲労やストレス、睡眠不足
● 風邪やインフルエンザなどの感染症
● 栄養バランスの悪化(特にビタミン類の不足)
● 抗生物質やピル、ストロイド剤の服用
● 妊娠や生理によるホルモンバランスの変化
● 夏場の発汗や蒸れ、下着の締め付け(高温多湿な環境)
● 陰部の洗いすぎ(膣内細菌のバランスが乱れている)
など。
様々な原因が考えられるので、むしろ「該当しない人はいない」、「誰でも思い当たる節がある」というのが普通です。
実際にポピュラーな病気の一つであり、女性の5人に1人、さらに妊婦の30パーセントは膣カンジダを発症すると言われています。
膣カンジダを放置するとどうなる?自然治癒の可能性について
膣カンジダは「治りにくい」病気の一つ。
自然治癒することもありますが、再発の可能性も4割あって、「ちょっと疲れただけで再発する」女性も珍しくありません。
一方で「自然に治る」人も多く(ほとんどの女性は自然に治ります)、症状が軽度なら以下のような対策で自然治癒を促すこともできます。
● 食生活の見直し(栄養バランスの改善)
● 十分な睡眠
● ストレスや疲労を溜めない(しっかり休養を取る)
● 通気性の良い下着を着用する
● 陰部の環境を清潔に保つ(ただし石鹸やシャンプーでは洗わない)
自然治癒した場合は問題ないのですが、放置すると症状が悪化し、強い「かゆみ」や大量の「おりもの」が発生するケースも…。
症状が出たら数日は様子を見て、それでも治らないようであれば、婦人科の受診をおすすめします。
膣カンジダを予防する方法
先ほども述べましたが、カンジダ菌は私たちの体の中に普通に生息しています。
健康な女性なら健康被害を受けることはなく、対策・治療は特に必要ありません。
しかし、体調を崩すと病変が起こりやすく、免疫力の低下に伴い症状が出るため「日和見感染」の一つに分類されます。
したがって、膣カンジダを予防するためには基本的な「体調管理」が最も重要。
先ほど挙げた「十分な睡眠」「栄養バランスの改善」「ストレスや疲労の解消」、以上3つの習慣を心がけながら、「体質」&「体の内側」から予防に努めましょう。
加えて、陰部の環境を清潔に保つために、
トイレの後は「前から後ろ」に拭く
(汚物が性器周辺に付着するのを予防する)
生理時はナプキン、おりものシートなどをこまめに交換する
入浴後は陰部をしっかりと乾かす
性行為の後は陰部およびデリケートゾーンをよく洗う
(パートナーからの感染予防には行為前の丁寧な洗浄も有効)
などなど、衛生上の注意点も意識してみてください。予防法=自然治癒する方法とほぼ同じ。
日頃の心がけ次第で再発率も大きく軽減されます。
膣カンジダはうつる?
可能性は低いものの、膣カンジダは性行為によってうつる(感染する)リスクがあります。
特に多いのは、「男性から女性にうつる」ケース。セックスによって感染し、「男性は自覚症状がないまま、女性のみ発症する」事例が多いようです。
男性の性器は外部に露出しているため、通気性が良く、通常はカンジダ菌が「繁殖しにくい」環境です。
しかし、包茎の男性は陰部が蒸れやすく、菌の増えやすい環境(不衛生)になりやすいのです。
そして、大量の菌が付着したまま性行為に及ぶと…
男性から女性の側に「菌の移動」が起こり、感染率が高くなります。(そのためカンジダ膣炎を「性病」の一種に分類する医師もいます)
男性は陰部が露出しているため洗いやすく、症状が出ても軽度で完治するケースが多いです。(再発率も低いようです)
一方、女性は残念ながら陰部およびその周辺が「蒸れやすい」、「洗いにくい」構造になっているため、症状が重くなりがちです。
パートナーの間で感染を予防するためにも、性行為の前後には陰部を丁寧に洗い、お互いにマナーとして清潔な環境を維持しましょう。
※家族間では「女性同士の感染」も起こります。
タオル等を介して感染するケースが多いので、タオルの共用(使い回し)などは避けてください。
膣カンジダを自宅で治療する方法
症状が軽度であれば、膣カンジダは市販薬による治療でも十分に改善します。
代表的な市販薬は以下の通りです。
かゆみを治療する「塗り薬」 … メディトリートクリーム、メンソレータムフレディCCクリームなど
カンジダを殺菌する「抗菌剤」 … フェミニーナ腟カンジダ錠、エンペシドL、メディトリートなど
いずれも薬局やドラッグストア、通販サイトなどで購入可能。
ただし、「再発治療薬」という扱いなので、原則としては以下の条件を満たす方のみ、購入できます。
● 過去に医師の「診断」を受け、膣カンジダを「治療」したことがある(対象年齢は15歳以上)
● 薬剤師に「再発」である旨を告げる
● ただし再発かどうかは「自己申告」。診断書は必要なし
実際には「過去に医師の診察なし」「再発ではなく初めての発症」でも、口頭でごまかせば購入は可能です。
特に通販サイトはチェックが甘いので、「病院で診察を受けるのが恥ずかしい」、「薬剤師に説明したくない」という女性でも手軽に購入できるでしょう。
※とはいえ、膣カンジダには症状の似た病気も多く、自己診断は難しいです。
初めて症状が出た場合は医師の診断を受けて、市販薬は再発時の利用をおすすめします。
膣カンジダを治療するために必要な費用
病院で治療する場合
膣カンジダの治療には保険が適用されます。
以下に挙げる金額は「3割負担」の例。
治療費は病院によってバラつきもあるため、あくまで平均額として参考にしてください。
初診料 … 2,000~3,000円(再診の場合は1,000円以内)
検査 … 1,500円~3,000円
膣洗浄 … 1,000円前後
投薬 … 1,000円前後
薬代(塗り薬と膣に挿入する抗菌剤) … 1,000円前後
婦人科を受診した場合、治療費の合計は平均で4,000円程度。
初診の場合を除くと、治療費が5,000円を超えるケースはほとんどありません。
ただし、「念のためにがんの検査もしましょう」という具合に、積極的に検査を推奨する医師もいます。
検査が追加されると、その分費用も加算されてしまいます…
それでも治療費の合計が1万円を超えるようなことはないでしょう。
自宅で治療する場合
市販の塗り薬(軟膏) … 1,000円~1,500円
市販の抗菌剤(腟坐剤) … 1,500円~3,000円
市販薬を購入して治療する場合、必要なのは薬代だけ。
ネット通販で安く購入すれば、塗り薬と抗菌剤の両方を購入しても計3,000円~4,000円。
症状が軽度で痒みだけなら、塗り薬のみでも治療できます。
逆に、痒みがなければ塗り薬は不要で、抗菌剤(腟坐剤)のみで治る方も多いです。
必ずしも併用は必要ないので、症状に応じて使い分けましょう。
市販薬と病院での処方薬はどちらが安い?
軟膏と腟坐剤を併用する場合は、通院して医師から処方してもらっても、市販薬を購入しても、費用に大きな差はありません。
再診の場合はむしろ病院で処方してもらう方が安いケースもあるので、時間に余裕がある方には婦人科の受診をおすすめします。
膣カンジダに似ている病気(比較して違いをチェック)
陰部に症状の出る病気は珍しくありません。
膣カンジダによく似た病気もあるので、安易な自己診断は危険です。
におい・かゆみ・おりものなどチェックしたうえで、可能な限り医師の診察を受けてください。
膣カンジダ
おりものの量 | 多い |
---|---|
おりものの形状 | 白いチーズ状・ヨーグルト状 |
におい | なし。または弱い |
主な症状 | おりものの大量発生、焼けつくようなかゆみなど。においは弱いケースが多い |
原因 | ストレスや疲労による免疫力の低下、風邪、妊娠、抗生剤や避妊薬など |
自然治癒 | 症状が軽度なら放置しても治るケースが多い。ただし再発する患者も多い |
細菌性腟症(非特異性腟炎)
おりものの量 | やや多い |
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おりものの形状 | 水っぽく粘着性で淡黄色または灰色 |
におい | 強い(魚のような生臭いにおい) |
主な症状 | 悪臭(特に性交後)、おりもの |
原因 | 免疫力の低下、性交渉など |
自然治癒 | 放置しても自然に治癒するケースが多い |
腟トリコモナス
おりものの量 | やや多い |
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おりものの形状 | 粘り気がある黄白色、または泡状 |
におい | 強い |
主な症状 | 泡状のおりもの、悪臭、かゆみ、腹痛、排尿時の痛み、陰部の焼けるような違和感 |
原因 | 性交渉 |
自然治癒 | 投薬による治療が必要。不妊症を招くこともあるため、放置は危険 |
淋菌性腟炎
おりものの量 | 少ない |
---|---|
おりものの形状 | 粘り気がある、膿のような液体 |
におい | 弱い |
主な症状 | 下腹部の痛み、排尿時の違和感、外陰部の炎症(ただれ) |
原因 | 性交渉 |
自然治癒 | 投薬による治療が必要。放置すると症状が悪化し、不妊のリスクも高まる |
陰部疱疹(性器ヘルペス)
おりものの量 | 変化なし |
---|---|
おりものの形状 | 変化なし |
におい | 変化なし |
主な症状 | 陰部のかゆみ、焼けるような違和感、頭痛、排尿痛、赤いブツブツ、ただれ |
原因 | 性交渉 |
自然治癒 | 自然に治癒する例も多いが、再発のリスクも高い |
性病や陰部の病気については、こちらの記事も参考にしてください。

デリケートゾーンのにおいが気になる方はこちら。

◆ 文/マイハピ 編集部
最終更新日:2021年2月19日
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